20代で次を決めずに今の職場を辞めることを考える人の中には、以下のような悩みを持っていることが多いのではないでしょうか。
- 次の職場が決まっていないが本当に辞めてしまってよいだろうか
- 将来のキャリアに影響が出てしまうだろうか
次が決まっていないことで収入面や将来に影響が出てしまうことに不安があるかもしれません。
しかし、20代は転職市場において有利な立場にあることが多く、スキルよりもポテンシャルを評価され、経験が少なくてもチャンスをつかみやすいという強みがあります。
本記事では、20代が転職市場で有利な理由や後悔なく辞めるために次を決めずに退職することのリスクや退職前にしておくべきことを詳しく解説します。
「次が決まってないけど、辞めたい」と悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
20代なら次を決めずに退職しても転職市場では有利な理由
20代が転職市場において有利な理由として挙げられるのは以下の3つです。
- 転職市場で需要が多い
- 転職1回2回でも不利になりにくい
- 未経験でも20代なら採用されやすい
それぞれ詳しく解説します。
転職市場で需要が多い
転職市場において、年齢が上がるごとに需要が少なくなり、求められるスキルが高くなりますが、20代の場合は、スキルよりもポテンシャルが評価されやすい傾向にあります。
そのため、20代のうちなら経験が浅い人材でもチャンスをつかみやすいです。
また、少子高齢化が進む中で、若い働き手はますます貴重になっています。
そのため、20代は転職市場においても需要が大きく求人も多くなっている傾向にあります。
転職1回2回でも不利になりにくい
近年、新卒後3年以内の転職者が全体の約3割を占めていることから、20代の転職は珍しいことではなくなっています。
特に1〜2回の転職であれば、市場において不利に扱われることは少ない傾向にあります。
ただし、転職回数が3回以上になると、「すぐに退職するのでは」や、「忍耐力に欠けるのでは」といった懸念から企業に敬遠されるケースが多いです。
そのため、履歴書類や、面接等で、ポジティブな理由での転職と伝えるようにしていきましょう。
計画的に転職活動を進めることで、20代のキャリア形成を有利に進めることができます。
未経験でも20代なら採用されやすい
20代なら未経験の職種であっても採用されやすい傾向にあります。
若者が適切な職に就き、不安定な就労を防ぐための法律や仕組みが整備されているためです。
- 35歳未満を対象にした若者雇用促進法
- 若者の採用や育成に積極的な企業には「ユースエール認定制度」
- ハローワークで労働関連法に違反する企業の求人を受け付けない仕組み
- 企業への募集内容の明記を義務付け、就労後のミスマッチを防ぐ仕組み
特に未経験の職種にチャレンジしたい20代にとっては、新たなキャリアを築く大きなきっかけになるといえるでしょう。
若者雇用促進法
「勤労青少年福祉法等」の一部を改正する形で制定された制度のこと。
若者が適切な職に就けるように支援し、若者の不安定な就労を防ぐために施行された法律。
ユースエール認定制度
若者の採用や育成に優れた姿勢を示した企業を厚生労働大臣が認定する制度のこと。
複数の助成金や優遇された融資条件を受けることができるため、企業も未経験者を採用しやすい環境を整えることができる。
20代でも油断は禁物!次を決めずに退職することのリスク
20代のうちはキャリアの可能性は広がっているものの、それでも退職時には注意が必要です。次の職を決めずに退職することは、下記のようなリスクが伴います。
- 収入が途絶えることで生活が苦しくなる
- ブランクが長引くと転職で不利になる
- 妥協してキャリアダウン転職になる可能性もある
以下でそれぞれ詳しく解説します。紹介するリスクを踏まえて「本当に次を決めずに辞めてもいいのか」の判断材料の参考にしてください。
収入が途絶えることで生活が苦しくなる
20代で次を決めずに退職する場合、収入が途絶え生活が苦しくなってしまうというリスクがあります。
退職によって収入が途絶えても、食費や家賃、水道光熱費、通信費などの固定費は継続して発生します。
たとえば以下のような理由で生活が苦しくなるでしょう。
- 国民健康保険料や国民年金の保険料を支払う必要がある
- 家にいる時間が長くなるため、光熱費が高くなくなる
- 20代は退職金が少ないか、まったく出ない可能性が高い
貯金があったとしても、無職が長引くと資金は急速に減少してしまいます。
少なくとも無職で過ごせる3ヶ月分の費用を確保するなど、事前の準備が重要です。
ブランクが長引くと転職で不利になる
離職期間が長くなってしまうと転職で不利になります。
特に履歴書に半年以上ブランクがあると採用担当者によい印象を与えないため、書類で落とされる可能性が高くなるので注意が必要です。
たとえば、下記のような疑念を抱かれやすくなります。
- 働くことへの意欲が低下している
- 転職に対する計画性がないと捉えられる
- ブランクからスキルが鈍って、即戦力としての活躍が期待できない
仕事への積極性に欠けると判断されてしまうと転職でかなり不利になるため、職歴に空白期間ができないように計画的に転職活動していくことも大切です。
妥協してキャリアダウン転職になる可能性もある
次を決めずに辞めると収入面の不安から焦って転職活動を急いでしまうこともあります。
焦った結果、条件面などを安易に妥協し、転職に失敗するケースが少なくありません。
妥協してしまうことでキャリアダウン転職になってしまう可能性もあります。
特に20代前半で転職すると、ほとんどの場合、未経験者と同じ扱いを受けることが多いです。
これにより、新卒と同等の待遇になるため、昇進や昇給を経験してきた人は待遇面での不満を感じることもあります。
キャリアダウンと感じ、過去の経験が無駄に思えてモチベーションが落ちると仕事にも影響する可能性が高いため、さらに悪循環に陥ってしまうことも懸念されます。
新人教育・研修など20代だからこそ得られるチャンスを失う
20代は学びながら成長できる重要な時期であり、多くの企業が新人研修や新人教育に力を入れています。
退職してブランクを作ってしまうことで、若手のうちに手厚く受けられるはずの貴重な学びの機会を逃してしまうのです。
30代になると、基本的なビジネスマナーはもちろん、実務経験や過去の成果が求められるようになります。
そのため、20代のうちに積み上げておくべき経験がない状態で退職すると後々大きなリスクにつながる可能性があります。
20代で次を決めずに退職する前にしておくべきこと
20代で初めて仕事を辞める際には、不安が大きいものです。
特に次を決めずに退職するなら尚更でしょう。
活用できる制度を確認しておくなど、退職前にしっかりと備えておくことが大切です。
退職前にしておくべきこととして、以下の7つを紹介します。
- 可能ならば親や信頼できる人に相談する
- 必要な生活費を確保しておく
- 失業手当の申請方法と受給資格について確認しておく
- 国民年金の免除申請が可能かどうかを検討しておく
- 国民健康保険への切り替え方法を事前に確認しておく
- 短期的及び長期的なキャリアプランを練っておく
- 転職エージェントに登録して市場の情報を収集しておく
可能なら親に相談する
可能であれば、まずは親に相談してみましょう。
相談にのってくれるだけでなく、経済的なサポートもしてもらえる可能性もあります。
もし一人暮らしをしている場合は、実家に帰るというのも選択肢の一つです。
生活費の一部を実家に入れる必要はあるでしょうが、一人暮らしの家賃や光熱費といった固定費に比べると生活費をかなり抑えることができます。
次のキャリアに向けた準備も落ち着いて行えるでしょう。
生活費を確保しておく
当面の生活を維持するために最低でも3ヶ月分の生活費を確保しておくようにしましょう。
まず自分の持っている貯金額や資産を把握し、毎月の生活費や必要経費をリストアップして計算します。
どれくらいのお金があれば次を決めずに退職しても問題ないかを確認しておくことが大切です。
失業手当について確認しておく
次を決めずに退職を考えている場合は、失業手当の要件を満たしているかを確認しておくようにしましょう。
失業手当とは、雇用保険の求職者給付のひとつです。
正式には「基本手当」といい、失業期間中に一定の給付を受けられる制度のことです。
失業手当の受給要件は以下のとおりです。
用件 | 概要 |
---|---|
「失業状態」であること | 就職しようとする意思や就職できる能力があり、求職しているにもかかわらず職業に就けない状態のこと |
「一定以上の被保険者期間」があること | 基本的に、雇用保険の被保険者期間が離職前2年間に12カ月以上あること |
被保険者期間は、雇用保険に加入していた期間や退職の状況によって異なり、会社都合で退職となった特定受給資格者や、自己都合であっても特定理由離職者に当てはまるの場合は、被保険者期間が離職前1年間に6カ月以上あれば対象になります。
また、失業手当は、退職理由が自己都合の場合と会社都合の場合で給付までの待期期間・給付日数が異なり、給付制限の有無があることにも注意が必要です。
給付制限 | 給付開始までの期間 | 給付日数 | |
---|---|---|---|
自己都合の場合 | 有(待期期間:2ヵ月) | 2ヵ月7日間 | 90~150日 |
会社都合の場合 | 無 | 7日間 | 90~330日 |
家庭の事情やキャリアアップなどが理由の退職の場合は、自己都合にあたり、失業手当の要件を満たしていても給付を受けるまでに2ヵ月以上があります。
さらに給付期間も会社都合に比べて少なくなるのが特徴です。
一方、会社の倒産や解雇など会社都合の場合は、認定日から7日後には給付が受け取れます。
このほか派遣の場合、契約満了での退職であれば会社都合に当てはまります。
失業手当の手続きに必要な書類は下記のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーカード(ない場合は運転免許証などの本人確認書類)
- 証明写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
雇用保険被保険者離職票は、退職する職場から入手します。
通常、退職の翌々日から10日以内に発行されるのが一般的ですが、10日経っても届かない場合は、前の職場に問い合わせしましょう。
書類が揃った後の手続きのおおまかな流れは以下のとおりです。
- 管轄のハローワークに行く(受給資格の決定)
- 待期期間(7日間)
- 雇用保険受給者初回説明会に出席する
- 認定日に失業認定申告書・雇用保険受給資格者証を提出する
- 認定日の5営業日以内に給付が開始される
初回説明会に出席すると失業認定申告書・雇用保険受給資格者証が渡され、初回認定日が通知されるため、認定日にハローハークに行き、銀行振込で給付を受けるというのが一般的な流れです。
自己都合で退職した場合は2ヵ月間の給付制限があるため、2回目の認定日に給付を受けるということになります。
国民年金の免除についても検討しておく
退職したら、厚生年金から国民年金へ切り替えられます。
会社員として働いている間は厚生年金が給料から天引きされますが、退職後は自分で国民年金の支払いを行うことになります。
ただし、経済的な理由から支払いが困難になる場合は、国民年金の免除申請で一時的に免除が受けられるので事前に確認しておきましょう。
国民年金の免除申請は、退職から14日以内に各市町村役場の窓口で手続きします。
申請に必要な書類は次のとおりです。
- 社会保険資格喪失証明書などの退職日が分かる書類
- 年金手帳
- 本人確認書類
- 印鑑
注意が必要なのは、国民年金の免除を受けることで一時的に保険料の支払いが免除されるものの、この期間は将来受け取れる年金額が減少することがある点です。
ただし、経済的な状況が改善された場合には、追納を行うことで受給額を回復することができます。
国民健康保険への切り替え方法を確認しておく
退職に伴い、社会保険から国民健康保険への切り替えが必要になります。
日本では、国民皆保険制度のもと、全ての国民が健康保険に加入する義務があります。
会社員として勤務している間は健康保険の保険料が給料から自動的に引かれていますが、退職すると自分で国民健康保険に加入しなければなりません。
退職後はすぐに健康保険証が回収されるため、退職から14日以内に各市町村役場の窓口で国民健康保険の加入手続きを行います。
国見健康保険の加入手続きに必要な書類は下記のとおりです。
- 社会保険資格喪失証明書などの退職日が分かる書類
- 届出書
- 本人確認書類
- 印鑑
未加入の状態で医療機関を受診すると、治療費を全額自己負担することになるため、退職後は速やかに国民健康保険への加入手続きを済ませておきましょう。
今後のキャリアプランを考えておく
キャリアチェンジするなら、やり直しの利きやすい20代のうちがおすすめともいえます。
退職をきっかけにこれまでやってみたかったことにチャレンジするのもよいでしょう。
離職期間が長くなると転職において不利になりますが、「スキルアップのために勉強していた」や「留学していた」といった明確な理由があれば逆に有利に働きます。
とくに海外志向のある人は、ワーキングホリデーがおすすめです。
ワーキングホリデーはほとんどの国で18歳以上30歳以下の年齢制限があるため、20代のうちにチャレンジしておくべきといえます。
転職エージェントに登録しておく
退職する前に転職エージェントへ登録するのもおすすめです。
転職エージェントは、個人のスキルや経験、希望条件に合う求人を紹介してくれます。
一人で探すよりも効率的に転職先を見つけることができます。
内定を得てからの退職が可能になるため、もし希望に合う転職先があるなら、次を決めてから退職するということも可能です。
さらに転職エージェントでは、転職相談や自己分析のアドバイスや応募書類の添削などを受けることができます。
サポート体制が整っているため、今後のキャリアに対する不安などをまずは相談してみるのもよいでしょう。
ただし、転職エージェントではスキルが不足している場合は希望する職種を紹介されないケースも多いため、先にスキルを身につけておくことが大切になります。
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20代が退職を決める理由4選
厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概要」によると20代の男女の転職入職率は15%前後です。
また、新規学卒就職者の離職状況に関する調査では、就職後3年以内の離職率は高卒で37.0%、大卒で32.3%であり、20代で退職を決めるのは今や珍しいことではないといえるでしょう。
出典:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
ここでは、20代がどのような理由で退職したのか、厚生労働省の調査結果から比較的割合が多かった理由を4つ紹介していきます。
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった
- 会社の将来が不安だった
- 給料等収入が少なかった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
出典:令和4年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省「転職入職者の状況」より記載
それぞれの理由について以下で詳しく説明します。
(1)労働条件が悪い
厚生労働省の雇用動向調査結果(令和4年)でも、男女ともに最も多いのが「勤務時間や休日などの労働条件が悪い」でした。
残業が多いことや、休日出勤がある、有給が取得しにくいという状況なら、誰もが「仕事が辛い」と思うでしょう。
中には求人票の記載と違う、面接で聞いていた条件と違うケースもあり、「そんなはずではなかった」という思いから不満を抱え、退職を決めるということが多いようです。
労働条件は、自分の努力ではどうしようもない部分です。
もし「これ以上ここで働けない」と感じているなら早めに退職を決めるのがいいかもしれません。
自分のスキルを発揮でき、より快適に働ける環境への転職を検討しましょう。
(2)会社の将来が不安
「会社の将来が不安」というのも退職理由として挙げられています。
とくに厚生労働省の雇用動向調査結果(令和4年)によると男性の25〜29歳では9.2%とその1割近くが会社の将来に不安を感じて退職したようです。
将来性が不安な会社は、給料も上がりづらくリストラされる不安もあります。
最悪の場合、会社の業績が悪化し倒産することもあるかもしれません。
会社の将来性に不安を感じる場合は、業界の動向や会社の経営方針を入念に調べ、不安を払拭できないのであれば、転職を考えてみましょう。
20代はキャリアアップ転職に期待できるため、より安定したキャリアを築くことにつながります。
(3)給料等収入が少ない
収入が少ないことも退職する理由としては多いです。
厚生労働省の雇用動向調査結果(令和4年)によると男女ともに前年差でポイントが減っているものの、25〜29歳では、男性の8.5%、女性の9.8%が「給料等収入が少なかった」という理由で退職しています。
とくに仕事に対して給料が見合わない場合、報われないと感じやすくなります。
仕事に対する満足感が得られず、モチベーションが低下し、結果的に「仕事を辞めたい」と感じることも多いです。
たとえ職場環境がよくても、給料の低さは仕事を続ける上での大きな障壁となるといえます。
給料が低いと感じた時にやるべきことは、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:給料が低いと感じる20代の方必見!給料アップのためにやるべきこと5つ
(4)職場の人間関係が良くない
退職理由として、「給料等収入が少なかった」とほぼ同じくらいの割合で多かったのが、「職場の人間関係が好ましくなかった」です。
厚生労働省の雇用動向調査結果(令和4年)によると職場の人間関係が理由の退職は、男性の25〜29歳では3番目に多く、女性の20〜24歳では2番目に多くなっています。
当社のアンケート調査でも、前職を辞めた理由の3位が職場の雰囲気・人間関係によるものです。
一日の大半を過ごす職場での人間関係が良くない場合、過剰に気を遣ったりストレスを感じやすくなります。
仕事だと思い割り切るのも大切ですが、自分の許容範囲を超えるとメンタルを含めた健康面に影響を及ぼします。
また、信頼できる上司や同僚に相談する、部署異動を希望するといった方法もありますが、改善が難しい場合は、心身の健康を守るためにも早めに見切りをつけるのが最善です。
【年収+60万円】保育士からWebコンサルティングの営業へ転職した塩見さんへの1日密着
まとめ
20代で次を決めずに退職を考えている場合は、転職市場での有利さを利用しながらも事前にきちんとキャリアプランを見直し対策しておくことが大切です。
ただ無職期間を長引かせていると、生活を維持するのが難しくなるだけでなく、履歴にブランクができることで転職にも影響するからです。
退職後に後悔しないためにも、今のうちに将来どのようなキャリアを築きたいのかを考え、やりたいことがあるのなら事前に準備を進めておくようにしましょう。
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