忙しい保護者に代わり、子どもの育児を担当する保育士はなくてはならない存在です。
しかし子どもを預かる重要な業務にもかかわらず給料が低い、上がらないなど待遇の悪さから、辞めようか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
保育士の給料は国の公定価格によって決められているため、給料アップを期待するだけでは収入は上がりません。
本記事では保育士の給料が上がらない理由と、収入アップさせる4つの方法について解説します。
この記事でわかること
- 保育士給料の基礎知識
- 保育士の給料が上がらない理由
- 保育士が給料を上げる方法
保育士の給料を上げる方法を知って、できることから取り組んでいきましょう。
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目次
保育士給料の基礎知識!どうやって決まる?
保育士の給料は、以下の条件で変わります。
- 公立保育園、認可保育園の場合
- 私立保育園、認可外保育園の場合
順番に解説していきます。
公立保育園、認可保育園の場合
公立保育園や認可保育園の場合、以下の収入から給料が出ています。
- 国や地方自治体からの補助金
- 保護者からの保育料
公立保育園、認可保育園で働く保育士は公務員と同様の扱いで、一般行政職に分類されます。
公務員はあらかじめ定められている「給料表」に沿って給料が決まるため、自分の等級から給料の目安が把握できます。
給料表の構成は、職務の難易度に応じて区分される「級」と、級を細分化し経験年数による職務の習熟度を示した「号」の2つです。
級が昇進、号が昇給という扱いになります。
私立保育園、認可外保育園の場合
私立保育園、認可外保育園の収入源は、主に以下の2つです。
- 保護者からの保育料
- 物販などの収入
私立保育園、認可外保育園は国や地方自治体から認可を受けていないため、補助金の対象外です。
そのため、保育料や物販などの収入で得られた利益から保育士に給料が支払われています。
保育園の経営状況によって給料が左右され、保育園の収入や利益が少なければ保育士の給料は上がらない可能性が高いです。
保育士の給料が上がらない5つの理由とは?
保育士の給料が上がらない理由は下記のとおりです。
- 補助金の増加が見込めないため
- 公定価格で決まっているため
- 経費削減が難しいため
- 物価高騰のため
- 子どもの数が減っているため
順番に解説していきます。
理由①補助金の増加が見込めないため
国からの補助金の増加が見込めないと、保育士の給料も上がらないでしょう。
保育園の多くは国や地方自治体の補助金に頼りながら運営していますが、予算はあらかじめ決まっているため、すぐに大幅な増加は見込めません。
千葉県浦安市を例にすると、保育士等処遇改善補助事業として、勤続年数に応じて月額最大6万円の給与の上乗せを行っています。
出典:千葉県浦安市|私立保育所などで働く保育士への支援
補助金を出す自治体は少しずつ増えていますが、すべての自治体で行わているわけではありません。
また、予算の上限額が上がらない限り、自治体独自の補助金による保育士の給料アップは難しいでしょう。
理由②公定価格で決まっているため
給料が上がらない理由は、保育園の主な予算が公定価格で決まるためです。
公立・認可済保育園に支給される補助金は、公定価格から保育料を引いた金額で決まります。
公定価格が決まる主な要素は以下のとおりです。
- 基本分単価:子ども1人あたりの月額単価
- 加算:人件費や管理費にあてる費用
基本分単価は子どもの定員や受け入れている人数を使って計算されます。
子どもの定員や受け入れ人数はすぐに変動するものではないため、保育園の予算の上限はほとんど固定です。
加算項目による収入はありますが、すべてが人件費にまわらないことも想定されます。
公定価格によって予算の上限がある程度決まっているため、給料アップは難しいのです。
理由③経費削減が難しいため
保育園は一般企業と比べても経費削減が難しいと言われます。
保育園経営に必要な経費は次のとおりです。
- 人件費
- 広告費
- 賃料
- 消耗品費用
- 水道光熱費
- 損害保険、賠償保険料
保育園は人件費が6割〜7割を占めており、全体の費用を合わせると約9割は支出にまわっています。
出典:内閣府「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査のデータ分析」
節約して支出をおさえたとしても、大きな効果が得られるとは考えにくいでしょう。
子どもの数を確保して教育の質を担保するためには必要な経費です。
全体を通して経費削減が難しいため、給料を上げにくい状況になります。
理由④物価高騰のため
給料が上がらない理由は、物価が高騰していることも影響しています。
子どもの保育に使う教材やおもちゃ、絵本などの購入費も物価高騰の影響を受けているでしょう。
保育園は補助金や保育料など、限られた収入の中から保育に必要なものを購入します。
必要経費の金額が増えると利益になる金額も減るため、人件費を増やせません。
現場で働く保育士も、物価高騰が保育の質に影響していると感じている人が約55%いるという結果も出ています。
物価高騰の影響は、少なからず給料が上がらない理由につながっているでしょう。
理由⑤子どもの数が減っているため
少子化による子どもの減少も給料が上がらない要因の1つです。
子どもの数が減ると、保育園の収入に影響が出てきます。
- 保護者から支払われる保育料が減る
- 公定価格の減少
保育園の収入は保護者からの保育料や補助金、公定価格によって決まります。
子どもの数が減ると保護者からの保育料も減るため、利益が上げられず保育士の給料が払えないのです。
さらに、保育園は子どもの定員人数、受け入れ人数で公定価格が変動します。
子どもの数が減ると支給される補助金の金額も少なくなる恐れがあり、人件費にまわせなくなる可能性も考えられます。
上記2つの理由から、給料が上がらない理由につながっているのです。
給料が上がらずモチベーションも下がっている保育士の方は、下記の記事もぜひご覧ください。
関連記事:給料上がらない現状を変える!モチベーションが保てないときの対処法4選
保育士の給料は低い?会社員と比較
保育士の給料は、条件次第では会社員の給料と比較して低い傾向にあります。
実際の統計データから、保育士の給料と会社員の年収を比較しました。
まずは保育士の年収です。
職種 | 公立保育所 | 私立保育所 | |
常勤 | 施設長 | 7,595,784円 | 6,790,740円 |
主任保育士 | 6,740,700円 | 5,075,592円 | |
保育士 | 3,637,356円 | 3,621,876円 | |
非常勤 | 施設長 | 7,055,556円 | 6,433,752円 |
主任保育士 | 3,090,372円 | 4,129,236円 | |
保育士 | 1,954,308円 | 2,253,792円 |
政府統計の総合窓口(e-Stat)|令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査をもとに作成
※年収は1人当たり賞与込みの給与月額を1年分加算した金額です。
次に役職別の会社員の平均年収です。
役職 | 平均年収 |
課長級 | 486万円 |
係長級 | 369万円 |
一般社員 | 281万円 |
厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査をもとに作成
比較した結果、非常勤で働く保育士の場合は一般会社員の年収を大きく下回っています。
常勤保育士だと会社員の係長級の年収ほどです。
ただし、集計対象の保育士の勤続平均年数は10年以上であるため、若手の保育士だと年収はもっと低い傾向にあると考えられます。
一般の会社員よりも低い給料で働くのが嫌になった保育士の方は、転職を考えるのもアリでしょう。
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保育士の給料は今後も上がる?
保育士の給料は、新制度が導入されたことにより少しずつ増加傾向にあります。
給料が上がる理由は、保育士の処遇改善のために「処遇改善加算I〜Ⅲ」という制度が導入されたためです。
処遇改善加算とは2013年から国が実施している制度で、保育士の処遇を改善するための補助金です。
保育士は給料の低さから人手不足が続いていたことから、処遇を改善するための取り組みとして制度がスタートしました。
制度が開始されてから年々補助金の金額は増加しており、年収の推移から給料アップしていることがわかります。
処遇改善加算Ⅰ〜Ⅲについては、それぞれ以下のとおりです。
- 処遇改善加算Ⅰ
勤続年数に応じて給料アップする
- 処遇改善加算Ⅱ
副主任保育士や専門リーダーなどの新たな役職に就くと給料アップする
- 処遇改善加算Ⅲ
収入の約3%相当とされる毎月9,000円の賃金上乗せが実施されている
加算項目 | 内容 |
処遇改善加算Ⅰ | 勤続年数に応じて給料アップする |
処遇改善加算Ⅱ | 副主任保育士や専門リーダーなどの新たな役職に就くと給料アップする |
処遇改善加算Ⅲ | 収入の約3%相当とされる毎月9,000円の賃金上乗せが実施されている |
現状、処遇改善加算が支給されるのは、公立・認可保育園のみです。
処遇改善加算を受けたいと考えている人は、公立・認可保育園で勤めましょう。
保育士が給料を上げるための6つの方法
保育士が給料を上げる具体的な方法は、以下の6つです。
- 正社員になる
- 公立の保育士、認可保育園の保育士になる
- 保育士でキャリアアップを目指す
- 給料が高い保育園に転職する
- 副業にチャレンジする
- スキルを身につけて異業界へ転職する
給料アップする方法を順番に解説します。
方法①正社員になる
保育士として正社員になることで、給料を上げられます。
保育士は正社員と非正規社員で月収が約12万円〜13万円ほどの違いがありました。
内閣府|令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査の情報より記載
保育士として働きながら収入アップを目指したいと考えている人は、正社員として採用されることが近道です。
現在、非正規社員として保育園で働いている場合は、正社員採用の見込みがあるか確認してみましょう。
正社員になれる可能性がなければ、正社員を募集している保育園を探すことも1つの方法です。
方法②公立の保育士、認可保育園の保育士になる
保育士として給料アップを目指す場合、公立・認可保育園の保育士になる方法があります。
公立・認可保育園の保育士になると、以下のメリットがあります。
- 役職に就いたときの給料が高い
- 各処遇改善手当の支払い対象になる
主任保育士などの役職に就いたときの年収は、約100万円ほどの差がありました。
政府統計の総合窓口(e-Stat)|職種別職員一人当たり給与月額の状況の情報より記載
加えて、公立・認可保育園は各処遇改善手当の支払い対象です。
処遇改善加算Ⅰを受けられると月額40,000円ほど加算されるため、大きな収入アップが見込めます。
ただし、公立の保育園に入るためには、公務員試験を受けなければいけません。
試験の合格や年齢制限などの条件があるため、挑戦できるか確認しておきましょう。
方法③保育士でキャリアアップを目指す
保育士として経験を積んでキャリアアップすることで、給料アップを目指せます。
制度上の役職は主任保育士と園長だけでしたが、2017年4月に創設された処遇改善等加算で役職が追加されて給料アップを目指しやすくなりました。
新たに追加された保育士のキャリアアップ先は次のとおりです。
- 職務分野別リーダー
- 副主任保育士
- 専門リーダー
職務分野別リーダーなら月額5,000円の給料アップ、副主任保育士や専門リーダーになれば月額40,000円も給料アップします。
キャリアアップするためには、分野別のキャリアアップ研修を受けなければいけません。
研修には8つの分野があり、保育や保険衛生・安全対策など専門知識を学習できます。
1分野の受講時間は15時間以上となっており、研修修了の目安はおよそ2日〜3日です。
研修期間も短いため、時間を作り積極的に受講してみてください。
方法④給料が高い保育園に転職する
給料が上がらない場合は、給料が高い保育園に転職することも1つの方法です。
保育園の経営状況によって、保育士に支払われる給与は変わります。
利益が出ていない保育園だったり、保育士への給料が低く設定されたりすると、給料アップは見込めないでしょう。
給料を多く出してくれる保育園に転職することが、給料アップにつながります。
加えて、給料水準の高い地域で働くことも重要です。
地域によって物価や最低賃金、福祉政策に使える予算など差があるため、給料を上げるなら平均年収が高い地域で働くとよいでしょう。
目安の1つとして、都道府県別の平均年収も紹介します。
地域により給料に差があるので参考にしてください。
順位 | 都道府県名 | 平均年収 |
1 | 東京都 | 375.5万円 |
2 | 神奈川県 | 335.6万円 |
3 | 大阪府 | 330.9万円 |
4 | 愛知県 | 312.6万円 |
5 | 兵庫県 | 312.3万円 |
ワースト1 | 青森県 | 247.6万円 |
厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査をもとに作成
転職をしないで収入を上げたい方は、副業にチャレンジしてみましょう。
保育士の資格を活かせる主な仕事は以下の通りです。
- ベビーシッター
- 創作雑貨の販売
ベビーシッターも保育士としての知識と経験を最大限に活かして収入を得られる副業です。
ベビーシッターの派遣登録をしておけば、自分の働きたいタイミングで無理なく仕事ができるためおすすめです。
ほかに保育士が取り組みやすい仕事には、手作り雑貨などを販売する仕事があります。
創作活動なら在宅で行うことができるため、保育士をしながらでも空いた時間に無理なく働けます。
ネットショップを利用して雑貨を販売できれば、直接人とやり取りすることもありません。
手芸などの創作活動が好きな人であれば、楽しみながら副業することができるでしょう。
ただし、注意点として就業規則で禁止されている場合は副業できません。
特に公立保育園で働く保育士は公務員という扱いであるため、副業は禁止されています。
就業規則を確認して、副業しても問題ないかを確認しておきましょう。
方法⑥スキルを身につけて異業界へ転職する
保育士としてではなく、ほかの業界へ転職することで給料を上げる方法もあります。
給与水準が高い業界へ転職できれば、大幅に給料が上がることを期待できます。
保育士の経験から得られるスキルには、子どもの育児以外にコミュニケーション能力や協調性、計画性など多岐にわたります。
スキルをアピールできれば、ほかの業種でも高く評価される可能性は十分にあります。
転職するときの注意点は、働くために必要なスキルがないと年収が下がる可能性があることです。
事務作業を行うためのエクセル操作や、IT関連の仕事に必要なスキルを事前に身につけておかないと給料が下がる可能性もあります。
業界が異なる職業に転職したい方は、先に必要なスキルを身につけておくと、転職する際も企業に十分アピールできるでしょう。
スキルを身につけ転職して確実に年収上げたい保育士の方はキャリフリがおすすめです。
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保育士からキャリアアップして給料アップを目指そう
本記事では保育士の給料が上がらない理由と、収入を上げる方法について解説しました。
- 保育業界はサービス業の特性から利益が出ないと給料が低くなる
- 補助金の増加がすぐには見込めず給料アップに限界がある
- 給料を上げる方法はキャリアアップや転職を目指すこと
保育士は役職の数も限られ、経営状況が悪いと給料が上がりません。
しかし、公立や認可のある保育園であれば、キャリアアップ研修を受けることで給料アップできるなど、制度の見直しも少しずつ進んでいます。
給料を上げたいと考えている人は、転職や副業などの可能性を考えながら、あなたに合った方法で収入アップを目指していきましょう。