「大卒の社員よりも給料が低い」
「大卒者に比べて給料が上がらない」
「自分より給料が高いのに、大した成果を出していない大卒の社員がいる」
と不公平感を持っている高卒の方も多いでしょう。
しかし「高卒だから」と諦める必要はありません。
なぜなら、給料を決める最も大きな要因は学歴ではないからです。
この記事では、給料面で不満を持っている高卒の方に向けて、高卒者の給料に関する実態や給料を上げる方法について解説します。
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目次
高卒は給料が上がりにくい?大卒との給料差、年収の上がり方を比較
現在の日本では、高卒者の給料は大卒者よりも低く、上がりにくい傾向です。
以下のグラフの通り初任給から差があり、年齢を重ねるにつれて差が開いていることがわかります。
上記のとおり高卒者の初任給が約18万円であるのに対し、大卒者は約22万円となっています。
同じ年齢と比較しても高卒より大卒の方が給料が高い
同じ年齢で比べても、大卒者の方が給料は高く設定されています。
給料差は年齢と共に広がっていき、高卒者の最高月収が約29万円であるのに対して、大卒者は約45万円です。
実に1.5倍ほどの開きがあります。
大卒者が働き始める22歳の頃、高卒者は既に4年ほど働いていますが、その間に培ったスキルや出した成果は、給料に反映されません。
むしろ新人の大卒者の方が、4年先輩の高卒者よりも給料が高いのです。
この差は1年後から開き始めます。
高卒者の5年目の手取りが昨年とあまり変わらない約20万円であるのに対し、大卒者は1万円アップの約23万円になります。
高卒と中卒の給料を比較
中卒者も高卒者と同じように給料が上がりにくく、給料は高卒者よりも低く設定されます。
ただし、事業規模が大きい場合、中卒者は高卒者よりも初任給の平均は高くなっています。
最終学歴 | 10~99人 | 100~999人 | 1,000人以上 |
大卒者 | 約22万円 | 約22万円 | 約23万円 |
高卒者 | 約18万円 | 約18万円 | 約18万円 |
中卒者 | 約15万円 | 約20万円 | 約21万円 |
政府統計の総合窓口(e-Stat)|賃金構造基本統計調査より独自に作成
これは中卒者の人数が高卒者よりも少ないために、人件費が潤沢にある事業規模の大きな企業に入りやすくなっているためと考えられます。
高卒者は、大卒者よりも給料が低い・上がらないばかりか、条件によっては中卒者よりも給料が低いのです。
給料は学歴によって決まらない
学歴は給与額の直接的な決定要因ではありません。
給料の金額は、主に以下の4つの要素によって決まります。
給料額を決める4つの判断材料
- 年齢・勤続年数
- 業務内容
- 成果・業績
- 総合判断
これらの決定要因の割合は、次の通りです。
総合判断が大半を占め、業務内容も4割近くあります。
年齢・勤続年数と成果・業績は、あまり判断材料になりません。
学歴は、この中の総合判断に含まれます。
つまり学歴は給与額を決定する要因にはなるものの、直接的には関係ないのです。
学歴は関係ないと言われながらも、給料が上がらずモチベーションが下がってしまう高卒の方は下記の記事もぜひご覧ください。
関連記事:高卒で給料上がらない!仕事のモチベーションが下がったときの対処法
高卒の給料が低い6つの理由
高卒だと給料が低い・上がらない主な理由は、次の6つです。
- 働いている業種が専門的なスキルを必要としないから
- 日本はまだまだ学歴社会だから
- 業界の給料水準が低いから
- 年功序列の会社がまだ多いから
- 高卒の多くは平均賃金の高い関東の企業に就職しないから
- 給料が上がらないのは高卒だけではない環境だから
1つずつ詳しく解説します。
理由(1)働いている業種が専門的なスキルを必要としないから
高卒者の給料が低い・上がりにくいのは、高卒者の就職する業種の多くが専門的なスキルを必要としないからです。
専門的なスキルは、給与額の大きな判断材料である「業務内容」に影響します。
専門的なスキルを持っていると、限られた人材にしかできない内容の業務を行えるため、比較的高い給料が支払われます。
大抵の場合、この間まで高校生だった高卒者には、専門的なスキル身につけていない方が多いでしょう。
高卒者は専門的なスキルを必要としない業種に就職する割合が高くなるため、給料も低い傾向にあります。
理由(2)日本はまだまだ学歴社会だから
学歴は関係ないと言われながらも、日本は学歴によって給料を決めている企業が多く存在しているのも事実です。
学歴は、給与額を決定する最大の要因である総合判断に含まれます。
学歴を重視する会社は、総合判断に学歴を組み込んでいる場合もあり、昇進についても学歴によって判断されてしまう可能性も高いでしょう。
本来、社員の給料は会社への貢献度によって決めるべきなので、学歴を最大の決定要因にするのは非合理的です。
しかし、まだまだ多くの企業が学歴によって社員の給料を決めているのが現状です。
理由(3)業界の給料水準が低いから
高卒者の給料が上がらない理由として、就職した業界の給料水準が低いことが挙げられます。
給料は、次の通り業界によって差があります。
業界 | 平均月収 |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 約50万円 |
建設業 | 約47万円 |
製造業 | 約40万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 約59万円 |
情報通信業 | 約50万円 |
運輸業,郵便業 | 約35万円 |
卸売業,小売業 | 約31万円 |
金融業,保険業 | 約51万円 |
不動産業,物品賃貸業 | 約38万円 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 約51万円 |
宿泊業,飲食サービス業 | 約13万円 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 約21万円 |
教育,学習支援業 | 約41万円 |
医療,福祉 | 約32万円 |
複合サービス事業 | 約37万円 |
サービス業(他に分類されないもの) | 約25万円 |
政府統計の総合窓口(e-Stat)|賃金構造基本統計調査より独自に作成
最も平均月収が高い電気・ガス・熱供給・水道業は、約59万円。
最も低いのは宿泊業や飲食サービス業の約13万円で、その差は4倍以上もあります。
インフラに携わる業界は給料が高い傾向にある一方、「必要不可欠」ではない業界や、提供しているモノやサービスの単価が安い業界は、給料が低い傾向にあります。
インフラに携わる業界では、専門的なスキルが必須です。
例えば、電気工事は「電気工事士」という国家資格を取得していないと行えません。
理工学系の大学や専門学校での勉強も重要です。
高卒の方は、専門的なスキルを身につける時間もないまま就職するため、給料の高いインフラ系の業界に入るのも難しいのです。
理由(4)年功序列の会社がまだ多いから
年齢や勤続年数を重要視する年功序列の会社が沢山残っているのも、高卒者の給料が低い要因として挙げられます。
年功序列を採用している企業では、年齢や勤続年数を重ねると、自然と役職が上がって昇給するため、成果や貢献度が高くても給料には反映されない傾向にあります。
勤務先が年功序列かどうかは、上司の役職ごとの年齢を調べれば簡単に分かるため、一度チェックしてみましょう。
理由(5)高卒の多くは平均賃金の高い関東の企業に就職しないから
高卒者が関東の企業に就職しない割合が多いことも、給料が低い要因の1つになっています。
高卒者は卒業後に関東圏に引っ越す機会がなく、比較的給料の低い地元の企業に就職する方も多いでしょう。
給料には地域差があり、最も高いのは関東圏です。
都道府県・エリアごとの平均年収をランキング表にすると、上位は軒並み関東圏になります。
順位 | 都道府県 | 平均年収 | エリア | 平均年収 |
1位 | 東京都 | 約455万円 | 関東 | 約436万円 |
2位 | 神奈川県 | 約435万円 | 東海 | 約403万円 |
3位 | 千葉県 | 約422万円 | 関西 | 約398万円 |
4位 | 埼玉県 | 約415万円 | 中国・四国 | 約383万円 |
5位 | 茨城県 | 約412万円 | 北信越 | 約378万円 |
6位 | 栃木県 | 約407万円 | 北海道・東北 | 約373万円 |
7位 | 群馬県 | 約388万円 | 九州・沖縄 | 約373万円 |
大卒者の場合、大学入学と同時に関東圏に引っ越し、卒業後はそのまま関東圏の企業に就職する傾向にあります。
大学は全国各地にありますが、以下のグラフが示す通り、大学生の半数近くが関東圏に集中しているのです。
上記のとおり、高卒者は卒業後の就職先が地元企業の方も多く、地域差からも給料が上がりにくいのです。
理由(6)給料が上がらないのは社会の問題でもあるから
20年以上続いているデフレの影響で、高卒者に限らず、日本の労働者は給料が低く上がりにい状況が続いています。
デフレでのプロセス
- モノやサービスが売れない
- 企業がモノやサービスを売るために値段を下げる
- 企業の収益が減り、労働者の給料が下がる
- 労働者が節約する(1に戻る)
平均年収は1990年代から下がり続け、2020年代に入ってから回復の兆しを見せたものの再び減少しています。
年代 | 平均年収 |
1990年代 | 約455万円 |
2000年代 | 約439万円 |
2010年代 | 約420万円 |
2020年 | 約433万円 |
2023年 | 約414万円 |
国税庁|民間給与実態統計調査、標本調査結果より独自に作成
参考:doda(デューダ) | 平均年収(生涯賃金)ランキング
デフレである以上、高卒者を問わず給料は想定しているより上がらない状態といえるでしょう。
下記の記事では、20代の昇給額の平均について詳しく解説しています。
気になる方はあわせて参考にしてください。
関連記事:20代の昇給額の平均は?学歴や企業規模に分けて詳しく解説!
高卒が給料を上げる5つの方法
高卒者の給与額は低水準で、昇給しにくくなっていますが諦める必要はありません。
高卒者でも以下の5つの方法を実行すれば給料を上げられるでしょう。
- 今の会社で上司からの信頼を得る
- 副業をして収入を増やす
- 業種・職種のどちらかを固定して転職する
- 歩合制のある職種に転職する
- 専門的なスキルを身につけて転職をする
1つずつ、給料が上がる根拠や具体的なやり方について解説します。
方法(1)今の会社で上司からの信頼を得る
上司からの信頼を獲得すれば、高卒でも昇給は可能になります。
給料には様々な決定要因があるものの、上司とあなたとの関係性は非常に重要なポイントです。
上司から信頼を得る方法
- 成果を出す
- コミュニケーションを積極的にとる
- 気配りができる部下になる
- 報連相を徹底する
売り上げに貢献するなどの成果を出せば、上司はあなたのスキルを評価します。
成果を出せなくても、今の会社で給料を上げていきたい方は努力や熱意をアピールし目に留まる部下になることも重要です。
方法(2)副業をして収入を増やす
勤務先が副業を禁止していない場合は、副業をして収入を増やす方法もおすすめです。
副業の報酬額は、資格やスキルを必要とする業務内容かどうかで大きく変わります。
副業を選ぶ際は、本業で身につけた資格やスキルを活かせるかどうかを判断材料にて選ぶと良いでしょう。
以下に業界未経験者でも取り組みやすい副業を記載するので、検討してみてください。
- Webライター
- Webデザイナー
- プログラマー
- 動画編集
- 翻訳
- スキル販売
仮に本業で培った資格やスキルが関係ないものでも、好き・興味がある副業であれば、積極的にやってみましょう。
副業を続けていればスキルが身につき、視野も可能性も広がります。
- 自分に合う副業は?
- 自分の好きを活かせるスキルは?
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方法(3)業種・職種のどちらかを固定して転職する
学歴によって給料が決まるなど、どうしても給料面で改善が見られない場合は、転職を検討しましょう。
高卒者が勤める業界は給与水準が低い場合がほとんどなため、業種・職種のどちらかを固定しながらの転職活動がおすすめです。
たとえば保険会社の営業職として働いている場合、保険会社の別の職種か業種の異なる会社の営業職を目指しましょう。
業種・職種を今の仕事と同じにすれば、面接で即戦力だと判断され、内定をもらいやすくなります。
また新しい仕事に馴染みやすいので成果を出しやすく、給料アップが期待できるのです。
以下に、給料の高い業種・職種のランキング表を載せるので、参考にしてみてください。
順位 | 業種名 | 平均年収 | 職種名 | 平均年収 |
1位 | 外資系金融 | 約1,683万円 | コンサルタント | 約1,358万円 |
2位 | 生命保険・損害保険 | 約846万円 | システムアナリスト | 約1,223万円 |
3位 | 環境関連設備 | 約791万円 | 営業マネジャー・営業管理職 | 約1,031万円 |
4位 | 専門コンサルタント | 約780万円 | 不動産営業 | 約1,013万円 |
5位 | 住宅・建材・エクステリア | 約754万円 | システムコンサルタント(業務系) | 約987万円 |
6位 | 不動産 | 約754万円 | クリエイティブディレクター | 約905万円 |
7位 | リフォーム・内装工事 | 約743万円 | 用地仕入 | 約878万円 |
8位 | 専門店(自動車関連) | 約685万円 | 営業・企画営業(個人向け) | 約867万円 |
9位 | 商品取引 | 約677万円 | オペレーター・アポインター | 約822万円 |
10位 | 総合商社 | 約668万円 | 投資銀行業務(インベストバンキング) | 約793万円 |
長い目でキャリア設計することが重要です。
方法(4)歩合制のある職種に転職する
歩合制の職種に転職すれば、学歴に左右されずに給料を上げられます。
歩合制とは、労働時間ではなく成果・業績に応じて給料が決まるシステムです。
歩合制を導入している職種の一例を紹介します。
歩合制を導入している職種
- 営業職
- 販売職
- ドライバー職(運送系、タクシードライバー)
- 美容師
高卒者であっても、歩合制の企業では大卒者と区別されません。
売り上げに貢献さえすれば学歴に関係なく収入が増える傾向にあります。
デメリットは、実力不足やコロナ禍などの社会情勢によって収入が大幅に減少することです。
とはいえ、企業には労働基準法第27条によって、平均賃金の60%以上かつ最低賃金以上の支払いが義務づけられているため、生活できなくなる心配は不要です。
学歴に縛られずに自分の実力を試してみたい方は、ぜひ歩合制の職種に挑戦してみてください。
方法(5)専門的なスキルを身につけて転職をする
高卒でまだ20代の方は、専門的なスキルを身につけ、自分の市場価値を上げ転職すれば年収アップも可能です。
20代は、若さやポテンシャルを評価されキャリアを伸ばしやすい年代といえます。
専門性や個々のスキルが高くないと年収は下がってしまう人も多いため、時間をかけて自己分析やキャリア形成を行いましょう。
独学でスキルを身につける方もいますが、自分の知識だけでは専門性を高めていくことは時間もかかり方向性も間違っているケースも非常に多いです。
20代の若さを強みに転職したい高卒の方は、キャリア形成のプロに相談してみましょう。
- 自分一人では行動できない
- 何のスキルを身につければいいかわからない
- 選択肢が多すぎてどれを選ぶべきなのか分からない
- 自分に合っている仕事が見つからない
- どのように目標を達成すればいいか分からない
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高卒者の給料が低い・上がらない現状について、その理由と解決方法を解説しました。
給料が低い・上がらない理由
- 働いている業種が専門的なスキルを必要としないから
- 日本はまだまだ学歴社会だから
- 業界の給料水準が低いから
- 年功序列の会社がまだ多いから
- 高卒の多くは平均賃金の高い関東の企業に就職しないから
- 給料が上がらないのは高卒だけではない環境だから
給料を上げる方法
- 今の会社で上司からの信頼を得る
- 副業をして収入を増やす
- 業種・職種のどちらかを固定して転職する
- 歩合制のある職種に転職する
- 専門的なスキルを身につけて転職をする
高卒者の方は、「自分は高卒だから」と諦めてしまうのは非常にもったいないため、専門的なスキルを身につけてキャリア形成をしていきましょう。
勇気を出して行動することが、給料を上げるための第一歩につながります。