20代は、社会人としてのスタートダッシュを切る時期です。
しかし、給与やキャリアの将来性に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
「もっと稼ぎたいけど、どうすればいいの?」
本記事では20代の昇給額平均について、学歴や企業規模、産業別に詳しく解説します。
また、昇給を実現するための具体的な方法や、収入アップを目指すためのポイントについても紹介します。
ぜひ本記事を参考に、自分の給与やキャリアの状況を把握し、今後のキャリアプランを立ててみてください。
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目次
昇給の種類は2つ
昇給の種類は下記の2つに分かれています。
- 定期昇給
- ベースアップ
それぞれの特徴について解説していきます。
定期昇給
定期昇給とは、企業が定めた一定の時期に行われる昇給制度です。
昇給額は、社員の勤続年数や仕事の成果、職務内容などに基づいて決定されます。
昇給には定期昇給のほかに、下記の4つの種類があります。
臨時昇給 | 企業の業績が好調な場合や、社員の特別な功績などがあった場合に、臨時に行われる昇給 |
自動昇給 | 定期昇給に似ていますが、年齢や勤続年数など、一定期間を超えると自動的に行われる昇給 |
考課昇給 | 社員の実績や勤務態度などの評価(考課)を基準とした昇給 |
特別昇給 | 特殊な職務への従事や、特別な功労など、普通昇給の範囲外となる特別な理由に基づく昇給 |
日本では多くの企業が定期昇給を実施していますが、ベンチャー企業や外資系、IT企業などを中心に、成果主義を取り入れる企業も増えています。
現在の職場が定期昇給を実施しているかは、給与規定や就業規則から確認できます。
定期昇給に関する記載がない場合は、人事部や総務部などに問い合わせてみましょう。
ベースアップ
ベースアップとは、勤続年数や個人の成果とは関係なく、すべての従業員の給与を引き上げる制度です。
物価上昇や景気回復など、経済環境の変化に伴い、従業員の給与水準を適切に維持するために実施されます。
ベースアップ率3%に設定の場合
- 基本給が20万円の従業員は20.6万円にアップ
- 30万円の従業員は30.9万円にアップ
また、従業員のモチベーションを維持し、企業の競争力を高めることにもつながります。
9割の企業が昇給を実施
下記の表のとおり令和5年中に、日本の企業の約9割が従業員の平均賃金を引き上げています。
平均賃金を引き上げた・引き上げる | 1人平均賃金を引き下げた・引き下げる | 賃金の改定を実施しない | 未定 | |
全企業 | 89.1% | 0.2% | 5.4% | 5.3% |
建設業 | 99.7% | 0.3% | - | - |
製造業 | 97.4% | 0.3% | 1.6% | 0.7% |
宿泊、飲食サービス業 | 77.4% | 1.1% | 8.1% | 13.4% |
とくに、建設業と製造業での賃金引き上げが目立ち、非常に高い割合を示しています。
対照的に、宿泊業や飲食サービス業では賃金の引き下げが若干多い傾向にありますが、それでも全体としては低い数字です。
昇給の伸び率は、業界によって異なるといえるでしょう。
なぜ給料が上がらないのか詳しく解説している下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:なぜ給料は上がらない?年収を上げる8つの具体的な方法
昇給額の平均は9,437円
厚生労働省の調査によると、年齢に関係なく令和5年のひとり当たりの昇給額の平均は9,437円でした。
平均賃金の改定額 | 平均賃金の改定率 | |||
令和5年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和4年 | |
全企業 | 9,437円 | 5,534円 | 3.2% | 1.9% |
前年から大幅に増加しており、昇給率も3.2%と上昇しています。
昇給率
昇給率とは、昇給後の賃金が昇給前の給料と比べて何%上昇したのかを示す割合です。
令和2年と3年は、感染症の拡大やそれに伴う経済活動の停滞により、企業の業績や従業員の給与が減少しました。
しかし、令和4年と5年には、経済活動の正常化や企業の業績回復が進んだことで、昇給額が再び上昇に転じており社会情勢に左右されるといえるでしょう。
昇給だけでなく、最低賃金についても把握しておきたい方は、下記記事もぜひご覧ください。
関連記事:最低賃金が上がるのに給料が上がらない4つの理由と対処法
【項目別】20代の昇給額の平均
ここからは、20代の昇給額を項目別に解説します。
- 男女別
- 学歴別
- 企業規模別
- 産業別
【男女別】昇給額の平均目安
年齢が上がるにつれて、経験やスキルも増えるため、昇給額も増加しています。
年齢 | 昇給額の目安 | ||
男女合計 | 男 | 女 | |
20~24歳 | 6,992円 | 7,056円 | 6,922円 |
25~29歳 | 8,038円 | 8,298円 | 7,706円 |
出典:賃金引上げ等の実態に関する調査(厚生労働省)
※上記をもとに昇給率3.2%で計算
しかし、最終的な昇給額は、企業の規模、勤続年数、役職、持っているスキルなど、さまざまな要因によって変わります。
上記の数字はあくまで目安として参考にしてください。
【学歴別】昇給額の平均目安
学歴によって賃金に差があることは、下記のデータからも明らかです。
年齢 | 昇給額の目安 | ||||
高校 | 専門学校 | 高専,短大 | 大学 | 大学院 | |
20~24歳 | 6,566円 | 7,050円 | 6,899円 | 7,475円 | 8,227円 |
25~29歳 | 7,299円 | 7,827円 | 7,786円 | 8,486円 | 9,187円 |
学歴が高いほど賃金も高くなる傾向があり、日本はまだまだ学歴がキャリアにおける給与面で重要な要素の一つになっているといえるでしょう。
【企業規模別】昇給額の平均目安
企業の規模が大きいほど、平均賃金が高い傾向にあります。
年齢 | 昇給額の目安 | ||||
大企業 | 中企業 | 小企業 | |||
20〜24歳 | 7,270円 | 6,934円 | 6,710円 | ||
25〜29歳 | 8,528円 | 7,862円 | 7,616円 |
大企業はさまざまな事業展開をしている場合も多く、経済的なダメージを受けたときでも立て直せる資金力があります。
中小企業や小企業より昇給しやすい環境といえるでしょう。
【産業別】昇給額の平均目安
産業別に見ると、インフラや専門技術関連の分野は高い報酬を得やすい一方で、宿泊や飲食サービス業界では相対的に低めです。
産業 | 20〜24歳 | 25〜29歳 |
鉱業・採石業・砂利採取業 | 7,094円 | 8,906円 |
建設業 | 7,386円 | 8,448円 |
製造業 | 6,509円 | 7,482円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 7,002円 | 8,954円 |
情報通信業 | 7,411円 | 8,928円 |
運輸業・郵便業 | 7,011円 | 7,949円 |
卸売業・小売業 | 6,912円 | 7,891円 |
金融業・保険業 | 7,162円 | 8,512円 |
不動産業・物品賃貸業 | 7,475円 | 8,458円 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 7,459円 | 8,954円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 6,422円 | 7,203円 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 6,685円 | 7,498円 |
教育・学習支援業 | 7,181円 | 8,342円 |
医療・福祉 | 7,389円 | 8,285円 |
複合サービス事業 | 6,323円 | 7,178円 |
サービス業(他に分類されないもの) | 6,925円 | 7,568円 |
20代が昇給するためにやるべきことは?
20代はキャリアのスタート地点であり、行動次第で給与アップも可能な年代です。
今すぐ取り組める、昇給するためにやるべきことを2つ解説します。
- 昇給制度を確認してキャリアを形成する
- スキルを磨く
昇給制度を確認してキャリアを形成する
昇給するためには、まずは自社の昇給制度をしっかり理解しておきましょう。
なんとなくいつか昇給するだろうと思っていても、上がらない企業も多いからです。
昇給制度を確認するメリットは下記のとおりです。
- いつどのタイミングで昇給できるのかわかる
- このまま現職で働くべきなのか検討するきっかけになる
たとえば、現職に満足しており勤続年数を重ねるごとに確実に昇給するなら、現職での貢献やスキルアップが有効的です。
反対に年齢や学歴を理由に昇給が難しい場合は、転職を検討するなど給料アップする方法を検討するきっかけになります。
また、自社の先輩や上司がどれくらい昇給して給料アップしているのか調べることも重要です。
30代以上の従業員の給料額は、あなたの数年後の給料ベースといえます。
20代だからこそ昇給制度を確認し、自身が納得できるキャリアを築けるように対策をしていきましょう。
資格やスキルを磨く
厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、資格手当を支給している企業は全体の50.8%に上り、平均支給額は月額1万8,800円です。
資格取得には時間と努力が必要ですが、会社が推奨する資格に焦点を当てると、資格手当の対象となりやすく、昇給の可能性も高まります。
また、目標に向かって努力することで、仕事へのモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
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20代が昇給以外で収入アップを目指す3つの方法
昇給は会社や個人の業績、経済状況などによって左右されるため、必ずしも期待通りにアップするとは限りません。
昇給以外で収入アップを目指す方法を3つ紹介します。
- 副業を始めてみる
- 起業する
- 転職も視野に入れる
副業を始めてみる
昇給の機会が少なく、現在の給与に満足できない場合、副業を始めましょう。
クラウドソーシングサービスを利用することで、副業は手軽にスタートできます。
たとえば、インターネットを活用した個人販売やPCで作業するWebの案件など、さまざまな方法で収入を得られます。
また、データ入力のような簡単な仕事を選ぶことで、手軽に副収入を得ることも可能です。
ただし、副業が禁止されている企業もあるので、副業を始める前には、自分の会社の就業規則を確認してください。
起業する
起業は慎重な計画と準備、リスク管理が必要ですが、成功すれば大きな収入源となる可能性があります。
20代の起業家の割合は最も多く、若い世代が新しいアイデアでビジネスの世界に挑戦していることがわかります。
29歳以下 | 35.4% |
30代 | 20.1% |
40代 | 22.0% |
50代 | 13.4% |
60代 | 9.1% |
参考:日本政策金融公庫
起業は成功すれば収入を大幅に増やせますが、リスクも高いです。
起業した会社が5年後に存続している確率は約10〜15%と低く、リスクについてもしっかり理解しておきましょう。
転職も視野に入れる
昇給以外で収入アップを狙う方法として、転職も有効な手段です。
会社の業績が良く、昇給の可能性が高い企業をターゲットにして転職活動を行うと効果的です。
転職先を選ぶ際は、自分のこれまでの経験やスキルを活かせる職種やポジションを選びましょう。
ただし、スキルがないまま転職した場合、昇給どころか今より給料が下ってしまう可能性もあります。
20代ならではの可能性を最大限活かすためは、戦略的に転職活動を行いましょう。
昇給に関するよくある疑問
最後に昇給に関するよくある疑問を3つ紹介します。
- 質問1.昇給しない会社もありますか?
- 質問2.昇給は企業の業績で変動しますか?
- 質問3.昇給しない会社は違法ですか?
昇給しない会社もありますか?
はい、昇給しない会社も存在します。
厚生労働省の令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況によると、定期昇給しない会社の割合は、以下のとおりです。
企業規模 | 昇給しない会社の割合 |
5000人以上 | 12.6% |
1000~4999人 | 12.9% |
300~999人 | 15.0% |
100~299人 | 20.8% |
企業の規模が大きいからといって必ずしも昇給制度があるわけではありません。
転職や就職を考える際には、企業の昇給制度についても確認することが大切です。
昇給は企業の業績で変動しますか?
はい、昇給は企業の業績によって変動します。
厚生労働省の令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査によると、賃金の改定に当たり最も重視した要素は、「企業の業績」が多い割合を占めています。
賃金の改定事情 | 賃金の改定に当たり最も重視した要素の割合 |
企業の業績 | 36.0% |
世間相場 | 6.7% |
雇用の維持 | 11.6% |
労働力の確保・定着 | 16.1% |
物価の動向 | 7.9% |
労使関係の安定 | 1.2% |
親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向 | 5.1% |
昇給しない会社は違法ですか?
昇給の義務が法律によって明確に定められているわけではないため、昇給しない会社が違法とは限りません。
昇給の実施は、各企業の経済状況、業績、内部規定などに基づいて決定されます。
昇給の有無や条件については、就業規則や労働契約を確認してください。
まとめ:自分の昇給額を見直して最善の選択肢を探そう
昇給額は、学歴や企業規模、勤める産業によって異なります。
自分の昇給額に疑問を持ったら、まずは給与規定や就業規則を確認し、必要であれば人事部や総務部に問い合わせてみましょう。
昇給交渉をする際は、自分のスキルや経験、会社への貢献度などを具体的に示すことで、説得力のある交渉ができます。
自分の能力をしっかりと発揮しているにもかかわらず、昇給が見込めない場合は、転職も検討しましょう。
転職するメリット
- 給与や待遇の改善
- キャリアアップ
- スキルアップなど
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