仕事の悩み

最低賃金が上がるのに給料が上がらないのはなぜ?4つの理由と対処法

最低賃金が上がっても…給料が上がらない4つの理由と対処法

最低賃金は毎年少しずつ上がっていますが「なぜ自分の給料は上がらないのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

最低賃金が上がっても、あなたの給料が上がるとは限らないため、最低賃金についても正しく理解しておきましょう。

本記事では、最低賃金は上がっているのに、なぜ給料が上がらないのか、その理由と対処法についてくわしく解説していきます。

この記事でわかること

  • 最低賃金の基礎知識
  • 最低賃金が上がっているのに給料が上がらない理由
  • 給料が上がらないときの対処法

最低賃金が上がっても給料が上がらない理由を把握して、給料を上げていくために必要な対策をしていきましょう。

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最低賃金の基礎知識

最低賃金の基礎知識

適切な給料が支払われているのか判断するためにも、最低賃金の基礎知識について解説します。

  • 最低賃金制度とは
  • 最低賃金の全国平均の推移
  • 最低賃金計算方法

①最低賃金制度とは

最低賃金制度とは国が定めた最低賃金以上の給料を、雇用主から労働者へ支払わなければならないとする制度です。

最低賃金法という法律に基づいて定められており、下記の特徴があります。

  • 最低賃金額より低い賃金で労働契約しても無効になる
  • 給料が最低賃金を下回る場合、差額分の支払いが発生する
  • 最低賃金を支払わなければ、罰則が発生する

最低賃金額より低い賃金の労働契約を結んだとしても無効とされ、最低賃金額と同額の契約内容になります。

最低賃金を支払わない場合に受ける罰則は以下のとおりです。

項目内容
地域別最低賃金額以上の
賃金額を支払わない場合
最低賃金法による罰則
(50万円以下の罰金)
特定(産業別)最低賃金額以上の
賃金額を支払わない場合
労働基準法に罰則
(30万円以下の罰金)

厚生労働省|最低賃金制度とは をもとに作成

労働契約を結ぶときは、給料が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。

②最低賃金の全国平均の推移

最低賃金の全国平均の推移は、以下のとおりです。

過去10年の最低賃金の推移は、年々上昇傾向にあります。

10年前と比べて約220円上がっており、最低賃金は1,000円を超えました。

最低賃金はパート、アルバイト、正社員などすべての労働者に適用されます。

最低賃金の推移データから、労働者の給料は少しずつ今後も上がっていくと考えられるでしょう。

ただし、世界的に見ると日本の最低賃金の伸び率は低い状況です。

OECD(経済協力開発機構)が公開している統計では、名目・実施ともに平均値の3分の1にとどまります。

日本の名目賃金の伸び率が低い
引用:日経新聞

世界的に見ると、日本の賃金はまだまだ上がっていない状況と言えます。

③最低賃金計算方法

最低賃金の計算方法は次のとおりです。

確認方法計算方法
時間給の場合時間給≧最低賃金額(時間額)
日給制の場合日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
日給制かつ日額が定められている
特定(産業別)最低賃金が適用される場合
日給≧最低賃金額(日額)
月給制の場合月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

具体例として、月収制と日給制の計算方法を紹介します。

月収制の計算例

前提条件は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間で、○○県の最低賃金は時間額1,000円とします。

基本給150,000円
職務手当30,000円
通勤手当5,000円
時間外手当35,000円
合計220,000円
計算1
最低賃金の対象にならない手当を除外

対象
・通勤手当
・時間外手当
220,000円-(5,000円+35,000円)
=180,000円
計算2
計算1の金額を時間額に換算し、
最低賃金額と比較
(180,000円×12か月)÷(250日×8時間)
=1,080円 > 1,000円

日給制の計算例

前提条件は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間で、△△県の最低賃金は時間額950円です。

基本給(日給制)6,000円
職務手当月25,000円
通勤手当月5,000円
労働日数20日
合計150,000円
計算1
最低賃金の対象にならない手当を除外
対象:通勤手当
30,000円-5,000円=25,000円
計算2
基本給(日給制)と手当(月給制)の
それぞれを時間額に換算する
基本給の時間換算額
6,000円÷8時間/日=750円/時間

手当の時間換算額
(25,000円×12か月)÷(250日×8時間)
=150円/時間

合計の時間換算額
750円+150円=900円 < 950円

どのような手当が発生しているかによって計算が変わります。

最低賃金に含まれない手当もあるため、計算するときはしっかり確認しましょう。

最低賃金が上がるのに給料が上がらない4つの理由

最低賃金が上がるのに給料が上がらない4つの理由

最低賃金が上がっても給料が上がらない理由は以下の4つです。

  • 企業の経済状況と予算制限
  • 労働市場の供給過剰
  • 職種や業界による違い
  • 時給が最低賃金を超えている

理由について順番に解説します。

企業の経済状況と予算制限

給料が上がらない理由は、企業の経済状況と予算制限が考えられます。

企業の経済状況は、売上や利益のほかにも毎月の支出、借金などに左右されます。

売上が悪く赤字になっているなど、経済状況が悪ければ給料アップにはつながらないでしょう。

売上や利益があっても、先を見通して資金を残そうと判断する場合もあります。

各業務や経費に予算制限があると、限られた資金でまわさなければいけません。

給料に配分できる金額も少なくなり、給料アップが難しくなるでしょう。

労働市場の供給過剰

労働市場の供給が多すぎると、給料が上がらない原因につながります。

労働市場の供給というのは、1つの仕事に対して同じ仕事をできる人が多くなることです。

求められる仕事量より仕事を求めている人が増えると、以下の状況になります。

  • 企業側にとって条件のよい労働者を選べる
  • 労働者は仕事を取るために低い条件でもOKする可能性がある

仕事をしたい人が過剰になると、企業は多くの労働者から雇用する人を選べます。

企業は経費をおさえたいと考えるため、集まった人の中から賃金が低くても働ける人を選ぶこともあるでしょう。

特に事務職など比較的スキルの習得しやすい職業は、供給過剰になりやすい傾向にあります。

企業側に有利な条件で雇用されると、労働者の給料も上がらないでしょう。

職種や業界による違い

職種や業界の違いで給料の上がりやすさは大きく異なります。

前提として給料が上がる主な条件は下記のとおりです。

  • 働いている業界全体が伸びていること
  • 会社の売上や利益が上がっていること

現在働いている業界が成長産業であれば、企業の売上も伸びやすく給料に反映される可能性が高まります。

一方で、あまり売上を伸ばせない業種にいる方は、企業の成長も難しく給料に反映される賃金も低くなります。

職種や業界により、年収に大きな差が出てくるため、将来性がある業界を選ぶのも大切です。

なぜ給料が上がらないのか、日本の経済状況も含めて下記の記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。

関連記事:なぜ給料は上がらないの?年収を上げる具体的な8つの方法

時給が最低賃金を越えている

給料を上げなければいけないのは、最低賃金を下回っている場合だけです。

支払われている月給や日給が最低賃金を超えている場合は、給料を上げる必要はありません。

法的な罰則はないため、企業に賃金を上げる意志がなければ給料は上がりません。

使用者の意識が最低賃金を超えているから大丈夫という発想は要注意です。

最低賃金が上がらないときの対処法

最低賃金が上がらないときの対処法

最低賃金が上がらないときの対処法は下記のとおりです。

  • スキルアップと資格取得をする
  • 副業やアルバイトを検討する
  • 転職による給与アップを目指す

対処法について詳しく解説します。

スキルアップと資格取得をする

最低賃金を上げる対処法の1つは、スキルアップや資格取得を目指すことです。

スキルアップや資格取得することで以下の効果が見込めます。

  • 対応できる業務範囲が増える
  • 未経験業務の参入ハードルが下がる

対応できる業務が増えて重要な役割を担えれば、査定などの評価アップにつながります。

また、資格取得も業種によって、賃金アップになる可能性があります。

昇給条件に資格取得が入っている場合は、積極的に資格取得を目指しましょう。

副業やアルバイトを検討する

副業やアルバイトなど、ほかの仕事から収入を得る方法です。

時間や体力に余裕があるなら、副業で追加の収入源を確保できます。

おすすめの副業

  • データ入力
  • Webライター
  • アンケートモニター

近年では在宅でできる仕事も増えています。

お店で身体を動かす仕事だと体力が続かない可能性もあるため、空き時間に在宅でできる副業がおすすめです。

ただし、在宅で仕事をする場合は、パソコンが扱えるスキルを持つことが望ましいです。

エクセル・ワードなどの簡単なパソコン操作を使えるようにして、在宅業務の幅を広げましょう。

転職による給与アップを目指す

転職してキャリアアップすることも、賃金が上がらないときの対処法です。

下記のような状況であれば、転職を考えた方がよいでしょう。

  • 企業の経営状況がよくない
  • 年収が多い業種ではない
  • 昇進が見込めない

特に必要なスキルを身につけて社内で活躍しても待遇がよくない場合は、同じ企業で働き続けても賃金が上がらない可能性が高いです。

転職先の業務に必要なスキルを身につけ、他の企業で力を発揮した方が年収アップする可能性も高まります。

賃金が上がらない場合は、転職という選択肢も考えてみましょう。

とはいえ、転職活動が面倒と感じる方も多いでしょう。

下記の記事では、具体的な対処法についてお伝えしていますので、転職が面倒と感じている方はぜひ参考にしてください。

関連記事:転職がめんどくさい!行動できないときの具体的な対処法5選

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最低賃金と給料に関するよくある疑問

最低賃金と給料のよくある疑問

最低賃金と給料に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • 最低賃金はいつ上がるのか
  • すべての労働者に最低賃金は適用されるのか
  • 最低賃金を下回っていた場合の賃金は後から請求できるのか
  • 最低賃金以下だった場合はどこに相談したらよいのか
  • 最低賃金以下で相談した場合、相談したことは会社にばれるのか

よくある質問内容について、順番に回答します。

最低賃金は、いつ上がるの?

例年通り改定された場合、最低賃金は毎年10月1日から10月中旬の間に上がります。

2023年の場合は、山形県と佐賀県の10月14日発行予定が最後でした。

賃金改定の発行予定年月日は都道府県ごとに変わるため、いつ賃金が改定されるかは各自治体のホームページにアクセスして確認してみてください。

すべての労働者に最低賃金は適用されるの?

最低賃金はすべての労働者に適用されます。

正社員、派遣社員、アルバイト・パートなど、どの雇用形態でも変わりません。

ただし、以下の項目は最低賃金が適用されません。

  • 賞与
  • 時間外割増賃金
  • 休日割増賃金
  • 深夜割増賃金
  • 通勤手当
  • 家族手当

賃金の種類が多くなりやすい正社員は、最低賃金の計算をするときは注意しておきましょう。

最低賃金を下回っていた場合の賃金は後から請求できる?

最低賃金を下回っていた場合の賃金は後から請求できます

最低賃金制度と呼ばれる最低賃金法を元に国が定めた制度があり、使用者は労働者に対して定められた最低賃金を支払う義務があるためです。

最低賃金を支払っていない使用者には、最低賃金法や労働基準法による罰則が与えられます。

自身の給料を計算して最低賃金未満しか支給されていなかった場合は、使用者に対して賃金を請求しましょう。

最低賃金以下だった場合はどこに相談すればいい?

最低賃金以下だった場合は、以下の場所に相談しましょう。

最低賃金以下であることが証明できるものを持って相談すると、企業に対して賃金を支払うように動いてもらえます。

ただし、企業との関係性がよく、話を聞いてもらえる状況なら、上司に相談するのも1つの方法です。

自分の状況に合わせてしっかりと対応しましょう。

最低賃金以下で相談した場合、相談したことは会社にばれるのか

最低賃金以下で相談した場合、匿名で相談や通報を行えば原則として会社にばれることはありません。

労働基準監督署や労働基準監督官には「守秘義務」があるため、会社に相談者の情報が伝えられることはないためです(労働基準法105条)。

匿名で相談や通報をしても、下記の場合は例外的に相談者が特定されてしまう恐れがあります。

  • 相談者が予測できるほどの小さな会社
  • 特定の個人しか知り得ない情報を証拠として提出

相談や通報で個人を特定されたくない場合は、注意した方がよいでしょう。

いずれにしろ、最低賃金以下しか給料を払わないのは、会社が社員を大切にしていないのと同じです。

辛い気持ちを抱えながら働くよりも、転職を決断して一歩踏み出すのも一つの手です!

  • 何もスキルがない
  • 辞めたいけど何をしたらよいか分からない
  • どうやったら給料を上げられるか分からない

とお悩みの方は、ぜひお気軽に無料のキャリア診断を試してみてください。

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最低賃金より給料が上がるように対処しよう

最低賃金より給料が上がるように対処しよう

本記事では給料が上がらない原因と、給料アップするための対処法を解説しました。

  • 最低賃金が上がっても給料は変わらない場合がある
  • 給料アップしない原因は、業界や企業の状況に左右される
  • 給料アップのためにキャリアアップや転職を目指すこと

最低賃金が上がって状況がよくなっているように見えても、給料アップしていない可能性があります。

自分の給料が最低賃金を下回っているような状況であれば、差額を取り戻しながら転職や副業などの可能性を考えて収入アップを目指していきましょう。

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